2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』(3)

「群像」十一月号に作者のインタヴューがあった。聞き手は武田将明である。 私は『すべて真夜中の恋人たち』の主人公冬子を「たんにつまらない、何にも無い人」だと書いた。それがこの小説の要だと思ったのだ。川上未映子が語りだすのはまづこの点であり、自…

小川洋子『人質の朗読会』

南米を旅行中の日本人八人が人質になり、救出作戦が失敗して全員が爆死してしまった。こんな結末から始まる短編集である。さて、人質たちは監禁されている間に、各々の物語を語る朗読会を続けていた。それは盗聴され録音され、そして公開された。それを九本…