新潮2月号、野田秀樹「パイパー」

 戯曲である。先月にシアターコクーンで上演されていたらしい。chez sugi に適切な紹介と感想があった。結末あたりの台詞が象徴的だったのでメモだけ残しておく。

 ワタナベ「ああ、死んだふりだ。でも今までだって、生きたふりだ。終わろうとしている世界を、どんなふりして人は生きていけばいい。俺にはわからない。」

 世界は、しかし終わらない。だらだら続いてゆく。そんな結末だと思って読んだ。ただ、上記の感想を見ると、「ラストは絵空事じゃない、ちゃんと手で触れることのできる幸福」とあって、実際の舞台は円満な印象を与えるようだ。もちろん、単純なハッピーエンドではなく、「滅亡へと一直線に向かう世界のなかに永劫回帰的な円環がもちこまれる」という感想である。