東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』(その4)

 「3父2」を読んだ。「ファントム、クォンタム」に関して09/07/28 でふれた疑問箇所は、「2娘1」章と同様やはり削除されていた。どちらも同じ疑問を起こす箇所だったので、それがともに削除されたというのは、偶然ではなく、よく練られた結果なのだと思う。作者のブログなどを見ると、改稿は仕事の過密な時期の作業だったようだが、いまのところ丁寧になされているようだ。
 やはり「ファントム、クォンタム」の大きな欠陥も『クォンタム・ファミリーズ』で修正されるだろう、という期待が高まる。ひとつはすでに述べた。もうひとつ、この章に関しては、「電話を切って」という声の主はだれか、だ。「ファントム、クォンタム」では、最終回で大島理樹が説明してくれたのに、その内容はなんと、「しかし、往人はその説明をほとんど覚えていなかった」という一言ですっ飛ばされてしまうのである。『クォンタム・ファミリーズ』でもこの声は描かれている以上、もっとまともに解決されていよう。友梨花の声としか、私には想像がつかないが、さてどうか。