吉田秋生『海街(うみまち)diary 3』

 漫画を読まなくなって何年もたつが、これだけは買っている。第一巻が2007年、第二巻が2008年、そして第三巻がやっと出た。鎌倉に姉妹だけで暮らす家族が主人公だ。『BANANA FISH』のような波乱は絶対に無い。しみじみほのぼの小ぢんまりとした作品である。鶴岡八幡宮の周辺で観光客の車が渋滞する鎌倉ではなく、小津安二郎を現代的にしたような暮らしぶりの鎌倉が、私は気に入って読んでいる。
 長女と末の妹が私は好きだ。二人ともしっかり者で、歳は離れていても、似た感じがある。そして、しっかりしているようで、年上には年上の悩みがあり、年下には年下の幼さがある。そこが良いのに、第二巻では、妹がただのしっかり者でしかなく、私は不満だった。けれど、この第三巻では末の妹もなかなか可愛いところを見せてくれており、二年ぶりに楽しませてもらった。