村上春樹『1Q84』Book 3 読書中(その3)

 第27章まで読んだ。Book1, 2 を昨年に読んだ読者の多くが続編を望んだ。彼らに対する違和感を、私は軽蔑をこめて前に書いた。しかし、そのまさに書いたまんまの「二人が奇跡の再会を果たして泣いて抱き合う、どこにでもころがってる結末」に物語は向ってしまった。残り四章で二人が1984年に復帰できそうな雰囲気さえある。作者が読者の期待に応えたにせよ、最初っからこれが作者の意図するところだったにせよ、『1Q84』の反動性は確かである。Book1, 2 に関しては安藤礼二佐々木中の興味深い批評があった。村上春樹にくだらない不満をぶつけただけの東浩紀の感想でさえ、私は楽しませてもらった。しかし、こうまで古典的に変わり映えのしない物語で幕を閉じようとするBook3 にはろくな反響が無いのではないか。いや、あと四章ある、落ち着け俺。