閑話(クォンタム・ファミリーズ)。

 東浩紀クォンタム・ファミリーズ』とその初出形「ファントム・クォンタム」について、私は三〇回くらいの記事を書いてるのではないか。いくら書いてもわからんところが残る。優秀な読者ではないのだろう。そんなことをひとつだけ付け足しておく。
 主人公の往人を「往人A」、彼のもといた世界を「世界A」としよう。テロリストの往人を「往人B」、彼のもといた世界を「世界B」としよう。小説冒頭の「資料A」で、往人Bは逮捕されている。旅客機に「爆発物を持ち込み、自爆テロを仕掛けた疑い」だ。この逮捕は転送された世界Aでの出来事だろう。さて、往人Bは世界Bで爆発物を用意していた。すると、彼が持ち込んだという世界Aでの爆発物はどう用意されたのだろう。