『マラルメ全集』第一巻(詩・イジチュール)

三十年近くの昔、学生の頃は日本の近代詩が好きだったので、フランス語を知らないながらに象徴主義、特にマラルメへの敬意は持っていた。ブランショ『文学空間』の権威も余韻としてはまだ残っていて、だから、秋山澄夫訳の『骰子一擲』とか『イジチュール』…

葉月の一番「文学界」8月号、綿矢りさ「勝手にふるえてろ」

若い女性が主人公で、彼女には好きな男Aが居る。彼女を好きな男Bも居る。彼女は男Aを追いかける。彼女は男Bを傷つけ捨てる。だが、結末近くで心境の急転回がある。それはほとんど気分的なもので、改心の理由を説明する価値は無い。とにかく、主人公は男…