哲学の起源

「新潮」十一月号、柄谷行人「哲学の起源」(5)

第五章 イオニア没落後の思想(2)「3パルメニデス」 パルメニデスは「有るものは有る、有らぬものは有らぬ」で知られる。エレアのゼノンはその弟子で、アキレスと亀の逆説で知られる。柄谷行人はこの二人をワンセットで考えてパルメニデスを論じた。する…

「新潮」10月号、柄谷行人「哲学の起源」(4)

第五章 イオニア没落後の思想 イオニアのイソノミアはリディアやペルシアの支配を受ける以前に崩れていた。イソノミアの維持は難しい。むしろイソノミアは失われた後に見出されるほどのものである。イソノミアを回復しようとする思想は、維持の難しさや崩壊…

「新潮」九月号、柄谷行人「哲学の起源(3)」

第四章 宗教批判としての自然哲学 タレスは万物の元を水に求めた。アナクシマンドロスは地水火風の四要素を挙げた。しかし、イオニアの自然哲学においては、何が始原物質であるかという意見の相違よりも、共通点に注目すべきだ。物質と運動が不可分であり、…

「新潮」八月号、柄谷行人「哲学の起源(2)」

第三章 イオニア自然哲学の背景 イオニアの思想は自然哲学だった、と哲学史では解説される。それが含意するのは、イオニア哲学は未発達で、まだ人間の内面や倫理を問題にできなかった、ということだ。それはありえない、と柄谷行人は考える。 1自然哲学と倫…

柄谷行人「哲学の起源」(1)「新潮」7月号

第一章「普遍宗教と哲学」 普遍宗教については『世界史の構造』で説明された。私の要約では11/07/27 のあたりだ。簡単に言えば、政治権力と貨幣経済のもたらす不自由や不平等に対抗するため、それらの無かった共同体の時代を現代的に回復しよう、という運動…