小池昌代

「新潮」10月号、丸谷才一「持ち重りする薔薇の花」、他、小池昌代『弦と響』

丸谷才一って文学史でどんな扱いになるんだろう。ほとんど読んだことが無い。ただ私は弦楽四重奏曲が大好きだ。彼の新作「持ち重りする薔薇の花」が弦楽四重奏団を扱っている。今年は同様の小説、小池昌代『弦と響』が出たこともあり、比べながら読んだ。た…

小池昌代『怪訝山』

『転生回遊女』と比べれば、いまのところ、やっぱり小池昌代は短編が良い。「木を取る人」(二〇〇四)、「あふあふあふ」(二〇〇六)、「怪訝山」(二〇〇八)の三篇が収録され、どれも良い。 菅野昭正は文芸時評で「木を取る人」を好意的に評価していた(…

小池昌代『転生回遊女』

作者初の長編小説とのこと。小池昌代の公式ページにあるとおりで、「主人公は、十八歳の桂子。奔放な女の子で、母のあとを継ぎ、役者のたまごとして生きていきます」、という大枠を持っている。実際は、一章ごとの完結性が比較的強く、だから、二十ページ弱…

小池昌代『コルカタ』

十二月にたくさん新刊を買って読み終わらずにいたけど、『転生回遊女』でやっとひと段落である。その間にしかし、小池昌代は詩集『コルカタ』と短編集『怪訝山』を出して私を引き離してしまった。もっとも、二冊のうち『コルカタ』は軽い仕上がりで、あっさ…

小池昌代のドローイング展

目白のポポタムという小さな店で15日から19日まで小池昌代のドローイング展をやっていた。絵の描ける人なのである。たまたま上京の用事があって最終日に寄れた。彼女の公式ページ にもアップされてる絵が、だいたいA4判ほどのを中心に30枚以上あって、五千…

文芸、春号、小池昌代「わたしたちはまだ、その場所を知らない」

作者の公式サイトには「詩に惹かれる女子中学生と女教師、同級生の男の子をめぐる小説です」とだけコメントされている。作中にも「詩」という言葉は何度も現れる。小池昌代は八〇年代に詩が終わってからの詩人である。なぜ彼女だけが詩を書けるのか、私はわ…