朝吹真理子

朝吹真理子『流跡』

私の言及した作品が後に何かの賞を獲ることが多い。純文学を扱う他の同様のブログと比べて多いんぢゃなかろうか。話題作の受賞は当然として、高樹のぶ子「トモスイ」(川端康成賞)とか、楠見朋彦『塚本邦雄の青春』(前川佐美雄賞)とか、「パンドラの匣」…

「新潮」9月号、朝吹真理子「きことわ」

子供の頃に夏を過ごした別荘が無くなる、という話だ。二年前に軽井沢タリアセンに移築された朝吹山荘をちょっと連想させる。ほか、こんな場面が気になった。「これかけていい?」 和雄がカセットテープをかえる。聞き覚えのない音に春子が曲名をたずねる。「…

「小説トリッパー」春号、「群像」4月号の朝吹真理子

旧朝吹山荘を昨年見学した。ヴォーリズ設計の美しい別荘だ。朝吹亮二は朝吹登水子の甥で、朝吹真理子は朝吹亮二の娘なんだそうだ。昨年十月号「新潮」の「流跡」のようないかにも育ちの良いデヴュー作の作者がこんな人だと聞いて、それだけで真理子のすべて…

「新潮」10月号、朝吹真理子「流跡」ほか。

これまで私は十三回も東浩紀「ファントム、クォンタム」について書いてきた。うまく読めてないからそうなる。量子脳やSFの素養が無さすぎるのが一因かなあと思って、ペンローズやイーガンを読んだ。読後感は、「理系方面をマニアックに読み込んでも、『新…