鮎川信夫賞、稲川方人、瀬尾育生『詩的間伐』

私が現代詩を読めなくなってきたのは、たぶん、平出隆や松浦寿輝を好んで、稲川方人を読まなかったことも一因かもしれない。稲川の方が現代詩であった。今となっては平出や松浦を詩人とは呼びにくくなっている。対して、中尾太一が稲川方人から生まれている…

岸田将幸『』(その2)

瀬尾育夫が「現代詩手帖」四月号で岸田将幸と対談している。話題は時事や鮎川信夫や曽祖母など、いろいろである。瀬尾は『』の読後感を語った。かつて岸田の詩に私が感じたのと同じことを、好意的にとらえている。 詩的な逃げというか、イメージや詩的な修辞…

十年前の「中央公論」五月号を読んだ

瀬戸内寂聴と山田詠美の対談があった。今年の「群像」一月号の対談も良かった。馬が合うのだろう。女流文学会の話がまた出ている。「群像」よりずっと愉快だ。平林たい子、佐多稲子などなど四十人で箱根に遊んだときのこと、まだひよっこの瀬戸内は「ちんぴ…

「群像」1月号「寂聴まんだら対談」

新年号では瀬戸内寂聴を「新潮」と「群像」で見かけた。前者は小説、後者は対談、どちらも連載だ。小説「爛」は徳田秋声を意識した題なのかどうか、まだわからない。対談は第一回が山田詠美である。第二回の川上未映子も読んだ。どちらも罪の無い話がはずん…