夏目漱石

小島信夫『漱石を読む』(一九九三)、佐藤泰正『これが漱石だ』(二〇一〇)

ひさしぶりに『明暗』を読みたい、なんて思いついた。どこが日本近代文学の最高傑作なのか、私にはよくわからん小説である。『道草』の方が素敵ぢゃないの、と思ってきた。いますぐ読み返したら同じ感想を得るだけだろうから、ちょっと予習しよう。昨年に出…

大江健三郎『水死』第一部、第二部

まだ読み終わらないの?と嫁に言われてしまった。大江健三郎『水死』である。十二月に出てすぐ買ったんだけどな。やっと第二部を終わったところである。大江の小説は私にはとても読みづらいのだ。たとえば、『万延元年のフットボール』で言うと、弟が感激を…

江藤淳『夏目漱石』冒頭

吉本隆明との対談で古井由吉が江藤淳について、こんなことを言っている。「江藤さんの漱石追究も、最初にこれが小説といえるんだろうかっていう疑念を踏まえていると思います。そこがすぐれたところだと思います。で、なおかつ小説だと解き明かすところが」…

古井由吉『漱石の漢詩を読む』

吉川幸次郎『漱石詩注』は岩波文庫に入っているが、二十数年前は岩波新書だった。そして品切れだった。古本屋で三千円もしたものである。なんとか安いのを見つけて買えた時はうれしかった。しかし、読んでもよくわからない。『漱石詩注注』があればなあ、と…